商品券に、振り回されまくる




整髪料を買いにドンキホーテに寄った。



エスカレーターに乗る手前、
今回の記事における主要人物が
登場した。



コーチジャケットを着た、
ドンキホーテには関与していない、
恐らく派遣の女性だ。



『*¥=々→♪〆??』



俺はイヤホンで音楽を聴いていたため、
迂闊にも、その女性が
なにを言ったのかをもう一度
聞くために、イヤホンを外して、
受け入れ体制を取ってしまった。



『商品券もらいました?』




商品券、貰っていない。
貰えるんなら貰いたい。



いや、貰ってないです


と言ったが最後、
あれよあれよとパンフレットを
差し出される。


どうやらTSUTAYAの月額なんやら
サービスの回し者だ。


ドンキホーテと提携し、
エスカレーターに乗る客を
ことごとく阻止し、
なにかしらの契約を結ばせる、
おぞましい魂胆だ。



この人にはきっとノルマがあるに
違いない。



商品券をただ見知らぬ人に
片っ端から配っている
優しいだけの人ではないようだ。




そんな甘い話はないって訳か。



頭の中は
『あ、じゃあやっぱりいいです、
要らないです』
というセリフで満たされた。



でももう引き下がれない所まできている。
何故なら俺は、
iPhoneQRコード読み取る
アプリを起動し、
TSUTAYA姉さんが業務的に
差し出さしたQRコード
読み取ろうと、している。



台本でもあるんか?
というくらいスムーズなお姉さんの
口車に乗せられ、
そして気づけば俺は、
メールアドレスを入力し、
パスワードを決め、
TSUTAYAの月額なんやら
サービスに入会していた。


この一連の間
たぶん俺には意識がなかった。
TSUTAYAお姉さんに意識が
ジャックされていたと思う。


こわ。
どーやってんの?




携帯画面には、入会完了の文字と
月額2000円みたいな事が書かれている。




しかしこれは初めに
1ヶ月の無料トライアル期間があり、
それまでに退会すればなにも
お金はかからない そうだ。



たしかにそう書いてある。


ふむ。


でもあまりにもスムーズな
事の運ばれ具合に頭が整理できず、



『これは詐欺か?
詐欺にあっているかもしれない。
確実にこれは詐欺だ。
退会しようものなら
黒塗りのベンツに乗った
怖いおじさんが家の前まで来て
そのまま連行され拷問、
そして結局月額2000円を一生涯払い続ける男になってしまった』



そんな絶望感が襲った。




しかし最後に渡されたパンフレットの
規約書に、退会すればマジで大丈夫
的な事が書かれていたので、
少し安心した。



そして、
これが欲しかったんでしょ?
と言わんばかりに最後に差し出された
商品券。








200円分。











いらん!












200円て!!












200円?











200円てあの200円?









おれが知ってる200円なら、
少々寂しくない?













もしもし200円さんですか?
あの、200円さんて、
100円玉が2枚の、あれですか?










そうです








ですよね〜











でも、実質変なサービスには
入会したけど無料やし
その上200円もらったんだし良いじゃん?
ケチクソ野郎が。


と、思われるかもしれない。



けど考えてみて欲しい。


退会手続きをする面倒臭さと
200円を天秤にかけると
圧倒的に退会手続きの面倒臭さが勝つ。




つまり、



変なサービスに入会して200円もらう


より


変なサービスに入会せずあのままエスカレーターに乗る



事の方が、絶対に良いのだ。






悔いても仕方がないので
その200円で整髪料を少しでも安く
買おうと思いレジに向かう。




すいません、その商品券
うちでは使えないんです





は?






おい、サカモトリュウ

なされるがままにも、程がある。